短歌 1968年

5月29日

バターをなめて 妹の死を 思い出せり いじらしきより 言わん方なし

7月12日

いたましき 妹の死を 思ふなり 二度目の盆の めぐり来れば

うどんげの花 松の鉢にみいだせり 不吉なることなきを祈りつ

うどんげの花 こたつにも 咲きにけり 障りなき事 神に祈りつ

11月19日

岐阜羽島 田んぼの中に超特急 停めた政治家夫妻の像みる

岐阜羽島 おらが国さの大臣は 超特急をたんぼに停める

11月20日

武庫川の流れを渡り 病む母のおわす病院 たずねる日かな

12月16日

我が母に奇跡よおこれと 祈りしに 甲斐なきことになりにけるかな