短歌 1970年

岡藤銀子さんを西荻窪に見舞う

高円寺阿佐ヶ谷又東中野 妹につながる想ひ出はみな悲しい

高円寺また阿佐ヶ谷と悲しみの記憶の糸をたぐる駅名よ

新婚の妹住し東中野たづねし想ひ出数多くあり

9月27日

子に頬を寄すれば泪あふれ出ず泉の如くつきることなく

9月26日右乳にしこりあることを医師に認められた

蓮の葉にころぶるつゆに似し泪 いくすじも落つ シーツぬらして

9月29日

ふと夜半に目ざむるときのおそろしく 枕の下に数珠入れてねる

つややかに風呂上りなり母の顔 ふとまどろみし夢にみるかな