短歌 1995年 夏

折れ曲がり折れ曲がりつつ探したる子規庵のそばに不折家ありき

予期もせぬ人より賀状来るとき何やら嬉し得した如く

久々に会ひたる人にいくつかと年きかれたり吾も老いたり

子の遊びたわむえたりし縫いぐるみ忘れて行きしを吾は抱きしむ

雪降っているよと知らせに来る孫共にくらせる日はいつまでか

病む膝をいやせんとして幾度もわたしの温泉栗湯につかる

食べたしと何時も云ふなり吾が夫は冬のスイスの焼き栗の味

さそはれて友と行きたり多摩川の桜の下で缶ビールのむ