短歌 2006年 春

どくだみの白十字の花庭中を星まきし如うづめつくせり

お隣の柿色づきてたわわなり一段と秋深まりていく

行き止まりの路地と知りつつ入りゆくあぢさゐの花いろいろありて

多摩川の土手できらめく富士山をいつまでもみるうれしかりせば

沈丁花すでに蕾はふくらんで紅さし咲く日も遠からぬなり

友人に出しそびれたる年賀状友より来れば嬉さ倍なり

いづ方へ行きしか氷雨降る夕なかなか帰り来ぬ子を待ちぬ

我が庭に孫が風鈴下げくれぬ涼しき音色チンチリチリン

すれちがひ朝の散歩で挨拶をすればかつての友達なりき

サルビアを亡き祖母好み時季くれば苗買ひに我行かされしかな

イチローの野武士の如き精悍さ新聞切り抜き日記にはれり

アマリリスピンクのふちに薄緑花弁開きぬ星の如くに

久々に電話よこせし友なれどすぐにせき込みもう切るわと切る

杖つけど歩くときには胸張りて正面みすえ歩む我なり

満開の梅に来たれり四十雀ピンクの花に冴えて美し