短歌 2006年 秋

ようやくにつぼみ開きぬアマリリス星の如くに鮮やかに咲く

プランターに球根埋めて忘れたるヒヤシンス咲く三つ四つ五つ

多摩川の土手よりのぞむ雪の富士そのふもとには黒き山々

金雀枝(えにしだ)は往にし妹の軒先に咲いていたりき ただなつかしき

黄の牡丹二輪友よりたわまりて夫の遺影にかざるうれしさ

住む人は絶えて久しき家なれど大紫はこの春も咲く

亡き夫の夢みたりけり明け近く優しく我にほほ笑みしかな