短歌ほか 2012年

飴なめて子の帰り待つ不安かな

肩痛む心も痛む夕べかな

ストーブを消せばぞくぞく寒くなり塩キャラメルを又二つ出す

子は我に缶箱いっぱい飴詰めて出かけて行きぬやさしかりしよ

親は子を子は親憂ふ我が家かな

ちらちらと雪降りてくる父母の命日

子なればこそ老ひたる我を桜見につれ行きたるぞ多摩川の土手

その昔夫と桜を見にゆきし今日子と行きぬ多摩川の土手

弟に風貌似たる大学の教授の話きいてみるなり

わたしの天国あと五日その後わからぬケ・セラ・セラ

歩くことやっと食べることやっとみんなやっとで生きているかな

勢はいい男だが相撲下手

千代の富士いつみてもいい男振り

安美錦昔の美男勝ちにけり

豊真将いい男だが背が足りぬ

よく見れば白鵬の鼻団子鼻

短歌また俳句もひどき日曜日

怒らせた子が出かけたるその後に子のソックスのつくろいをする

黒ずみし大きなる蚊我が右腕にあり(叩き潰して清々した)

何時の間に買ってきたるかさつまいも子のやさしさになみだするかな

子が焼いてくれたるお芋食べて子を待つ

残生を心得違ひて生きたゆえ死期近づきて苦し日々かな

この間生れたばかりし隣家の子お母さんと呼んでいるなり

隣家にトイレの明かりみえるとき我なつかしくうれしかりけり

鳩時計子供直して鳴ることは鳴れど実感と関係なく