母のこと

大正10年(1921年)11月25日に生まれた母。父は洋画家、風刺画家、漫画家の池田永治、生まれたのは現在は台東区の稲荷町、少女時代を過ごしたのは文京区の駒込、四人姉妹+末弟の長女。母親はお姫様のような人だったそうで、爺やに婆や、書生がいて、お手伝いさんは何人もいたそうだ。

母はとても奇麗で聡明な子供だったから、両親や祖母や、周りの大人に大変可愛がられて育ったらしい。いとこたちからきれいなタカさんと呼ばれていた母。96歳で逝ったときも綺麗だった。

美しく、個性豊かな母はいつも私の自慢だった。おばあさんになっても、母は特別だった。だから私は90を越えた母を何度もドイツに連れて行き、友人みんなに自慢した。

母を失ってから、私は愛する人がいない人生がなんとつまらないものか実感している。話をする相手、食事を作る相手、一緒に旅をする相手、世話をする相手がいないことは、なんとむなしいことか。

私はいつまで生きるのだろう。