短歌 2007年 春

春浅く夕かたまけて家路急ぐ空にもいつか白き月出づ

赤赤と百日紅の咲き満てど髪なぶる風秋運びくる

皇后の笑顔を拝し島民の老いの涙ははふり落ちけり

玉砕の戦友の遺骨幾年も生きて集め来し人卒寿に逝きぬ

枯れし葉に止どまりし蝉の抜け殻は秋雨に打たれ落ちにけるかも

半月はバナナの房のごと見えゐしが脳の手術で焦点定む

大晦日の告別式となりたるも妹気強く挨拶をせり