短歌 2007年 秋

隣家の蔦の紅葉が美しき雨戸を閉める夕暮時かな

人住まぬ隣家の庭の暗闇にさざんか一輪灯火のごと

病床の夫に届けし三平汁つたなき味を喜びし君

植えしこと忘れたる頃出でぬベランダ花壇のヒヤシンスかな

鯉泳ぐ池あれば自ず足が向くビルのはざまの会社の庭へ

買いくれしカランコエ咲くベランダや娘の心根のうれしかりけり

展示品なりといえでも子が我に求めてくれしソファー心地よし