短歌ほか 2015年

新聞をやっとことりに行きにけり

オレンジのシャツ着せられしその人の顔見るに耐えずチャンネルを切る

大輪の花びらそりし赤椿その豪華さに脱帽す

今はただ拝むばかりの花見かな

手づかみでカボチャつまみて感無量

台風と地震なき日の有難さ

ドイツでは動かぬものよ我が家とは

子の帰りいばりしながら祈りけり

思はずがっくり帰国と云はれうれしくないわけはないけれど

ひたすらにクッキーを食べるひたすらに食べるほかより楽しみのなし

若き日の夫の写真のつつましさ此の頃特に感じみるかな

わがそばの椅子にうずくまるモモよモモ生きているのか死んでいるのか

蠅のやつとまるとこなく我が頭にくる

問題は年賀状なりどうすべえ書きたくもあり書きたくもなし

子の顔をみるまで我の不安かな

補聴器をわれにつけて出かけし子の買い物